「六角さん」の名称で、京の町の人々に昔から親しまれてきた六角堂は、寺号が紫雲山頂法寺。西暦587年、聖徳太子を開基として創建されたと伝えられています。本尊は太子の護持仏といわれる御丈1寸8分(約5.5cm)の如意輪観世音菩薩で、平安時代から霊験をたたえた記録や説話も数多い。平安遷都の折、東西小路のひと筋が通る所に六角堂があたってしまい天皇が使者をたてて今少し南北どちらかに御動座頂くよう祈願されると、礎石(へそ石)一つ残し御堂がにわかに5丈(約15m)ばかり北へ退いた話は有名です。
境内東北隅には聖徳太子を祀った太子堂があり、2才の頃の南無仏像が安置されています。この地は、太子沐浴の池の跡ともいわれ、池のほとりに小野妹子を始祖とする住持の寺坊があったところから「池坊」と呼ばれ、この池坊代々の執行によっていけばなが完成されました。つまり、六角堂はわが国のいけばな発祥の地なのです。
六角堂は西国巡礼三十三所の第十八番札所でもあります。花山法皇が996年正月、六角堂へ行幸されたのが巡礼の始めと伝えられ、観音信仰が盛んになるにつれて霊場として庶民の信仰を集めるようになりました。
また親鸞上人が毎夜比叡山から六角堂に百日間参籠りをされ、夢中のお告げによって浄土真宗を開かれたといわれています。
六角堂は創建以来、数度の火災にあっていますが、人々の信仰のおかげでその都度再建され、現在の建物は明治10年(1877年)の建造物です。